広報誌 vol.2 発行しました


雇い止めの一部撤回が成立したことについて

 

私達は非常勤講師として長年勤務した組合員を5年で無期転換させ、雇い止めを撤回するよう静岡や札幌でストライキを実行し、複数に分かれて東京地裁に提訴もしています。

 

しかし、2023年2月6日に東海大学から届いた書面は驚くべきものでした。

 

当方の原告である河合紀子さんのみについてですが、【雇い止めを撤回する。その後、無期転換してくれて構わない】というものです。特に条件も付いていません。

 

理由は、【(河合さんについては)もともと雇い止めする予定ではなかったが、現場のミスで雇い止め通告をしてしまったため】と記載されていましたが、全体として率直かつ誠実な文面でした。はじめに提案された出勤曜日では調整が難しいと弁護士さんを通じて連絡すると、東海大学側はなんと半日で修正してくれました。驚くべき決断の速さと言わざるをえません。

 

当初河合さんは「皆さんより先に自分だけ救済されるのは・・・」と戸惑っていましたが、組合の皆さんが(自分たちだって大変なのに)東海大学の提案を受諾するよう説得し、河合さんもそれに従う決断をされました。

 

今回のことは以下の2点で大きな意味があります。

 

第一に、労働組合のない東海大学に、非常勤講師だけでなく専任や職員の人たちが全国から結集して労働組合を結成し、団体交渉を重ね、上部団体である横浜地区労や神奈川労連、支部のある静岡県評、札幌地区労連の支援を受けながらストライキを実行できるまでに力を培ったという点です。組合員たちは「どうせ勝てない」と諦めることをせず、まだまだほんの少しですが「押し返す」ことに成功したのです。

 

第二に、あれだけ頑なに見えた東海大学が大きな決断をしてくれたことも指摘しなければなりません。おかげで一人の教員の人生が破壊されずに済みましたし、当該第二外国語の灯が守られたことは東海大学の学生さんにとっても大きな利益になります。

 

東海大学はいまだに他の組合員らの無期転換や雇い止め撤回に応じておらず、その点については私たちも断固として裁判や各種組合活動で主張を繰り返していきます。しかし、今回の一件については当組合も率直に東海大学に敬意を表したいと思います。

 

東海大学教職員組合 

執行委員長 佐々木信吾 





※中日新聞(2月16日付)
https://www.chunichi.co.jp/article/636763?rct=h_tokai_news

※しんぶん赤旗(2月14日付)
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik22/2023-02-14/2023021401_03_0.html

※田中圭太郎「現場からの視点」

https://biz-journal.jp/2023/01/post_331470.html

※激励(川村雅則さん)

https://ameblo.jp/npo-machipot/entry-12785960101.html

※北海道新聞 

➡https://news.yahoo.co.jp/articles/47b7fbb74ca60c564f914a8496853d228e91635f

※NHK 静岡 NEWS WEB

https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20221209/3030018575.html

※TBSnewsDIG

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/221167

※共同通信
https://news.yahoo.co.jp/articles/0baba4361da6e322e999daa63d35ffdb65dc7af7

※静岡新聞

➡ https://www.at-s.com/sp/news/article/shizuoka/1158669.html

※しんぶん赤旗

https://twitter.com/katsuhirokomura/status/1599907647758958594?s=20&t=mQ_JbrC6_pidzLxGTmkPSQ

※朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASQD573DHQD5UTIL018.html

※Yahoo!ニュース

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6446664

※読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/national/20221202-OYT1T50122/

 

 【ストライキのご報告】

東海大学は労働契約法が認める5年無期転換の10年特例の10年目にあたる教員らに大量に雇い止めを通告してきました。

20年近く勤務してきた教員も多数含まれます。

 

私たちはこのような脱法的な雇い止めをしないよう提訴し、同時に雇い止め撤回を求めてきましたが、東海大は12月2日に、書面で明確に雇い止め撤回要求を完全に拒否し、頑なな姿勢を貫いています。

 

私たちは仕方なく、「東海大が雇い止めを撤回したら即座に授業再開する」と通告して一部授業のストライキに入りましたが、東海大からは最後まで何らの回答もありませんでした。

結果的に、ストライキは予定の終了時刻まで継続することとなってしまいました。

地元静岡県評や神奈川・愛知から多くの方に応援に来て頂き、ストは怪我人もなく実施できましたが、結果を得ることができなかったことは残念でなりません。なにより、我慢してくれた学生の皆さんにも申し訳なく思っています。

 

なお、以下の東海大の対応には強く抗議したいと考えています。

(1)ストの混乱を未然に防ぐために、私たちは労使双方の窓口を設置することを求め、佐々木委員長の携帯電話の番号まで伝えましたが、東海大は窓口担当者を設置せず、門外でのストの様子を遠巻きに動画撮影するだけでした。

(2)東海大はストライキ当事者が授業内で学生さんに情報伝達をすることを禁止し、それに反した場合に厳正な処分をするとまで書面で予告してきました。一方、当事者の授業中は教室のドアを開け、授業内容を終始動画撮影し、挙句は無線で連絡を取り合っていました。そのような状況で学生さんが授業に集中できるか誰が考えても分かることです。さらに、撮影担当者はその撮影について、ストライキ担当の講師から学生に説明をするよう求めました。そもそも、学生の姿や声まで入るこうした動画撮影は東海大の判断で実施しているのに、ストライキ当事者に説明させる行為は、もともと東海大が書面通告してきた内容とも矛盾します。

 

もうメチャクチャではないでしょうか?今後予定されている各地のストでは、このようなことをしないよう東海大に強く求めるものです。

当日配布(静岡)したビラはこちらからご覧いただけます。➡第一陣授業ストライキ配布ビラ

 

STOP雇止めー組合加入の呼びかけー

【各支部から】

(1)札幌支部から

私は2020年から東海大学札幌キャンパスで非常勤講師として情報系科目を担当してきました。2021年度末、2023年度の雇止めを通告されました。通告のやり方も非常識で、オンライン授業で出勤していないにも拘わらず時間外で呼びつけようとするなどしていまた。

札幌キャンパスでは私以外にも数名、理系科目担当の非常勤講師が雇止めになります。同じく雇止め通告を受けた同僚と首都圏非常勤講師組合に加入したところ、全国のキャンパスで同様の雇止めが発生しておりました。
東海大学教職員組合を結成し、無期転換申請や団体交渉を行ってきましたが、大学側の非常識な態度は改まらず、提訴することになりました。
「『カリキュラム変更の都合』と言えば非常勤講師はいつでも首にできる」といった悪習を何としても阻止したいと思います。
東海大学教職員組合副執行委員長

札幌支部長兼任   有馬研一郎

 

(2)湘南支部から

今回の訴訟の原告団の一員、B氏は、東海大学湘南キャンパスで2006年から16年以上東海大学に勤続し、70歳の定年まで勤務を続ける心積もりでいました。それが、メールでの突然の解雇通知です。上司に理由を質しても具体的な理由は一切説明されませんでした。そして、B氏と同じ境遇の教員があちこちのキャンパス内に多数おり、それぞれに苦境を強いられていることが分かりました。きちんとした解雇理由の説明をせず、コマ数調整などの解雇回避処置を怠り、5年での無期転換も認めず、何より当たり前であるかのようにいとも簡単に解雇通達を行う大学側の不誠実な対応はけっして許されません。

非常勤講師に対するこのような扱いは、専任教員や職員の負担を増やし、授業の質の低下へと繋がり、結果として学生をも犠牲にすることとなります。

ある地区では第二外国語の講座数を6割以上減らすそうです。それが私大全国4位の経常収支差額を誇る黒字大学がすることでしょうか?全国の東海大学で働く皆さん。似た境遇の方はこの組合に集って下さい。まだ間に合います。現在無事である皆さんにも、時差があるだけでこれは対岸の火事ではないとお伝えしたいです。

 

東海大学教職員組合執行委員・湘南支部長YN

 

(3)静岡支部から(全体メッセージを兼ねて、以下の動画を配信します)

東海大学教職員組合執行委員 静岡支部長 河合紀子

⇓2022年11月東海大学を提訴

ダウンロード
訴状・東海大学2022年11月17日提訴.pdf
PDFファイル 214.6 KB







共済に加入されていない皆様へ

全労連共済は、全労連加盟組織の組合員と家族のための共済です。
保険や共済は、万が一の事故や病気に対する備えとして、私たちの生活にとって切り離せないものです。保険は人生において高い買い物の一つとも言われています。
病気やケガ、災害時には費用がいろいろとかかってきます。万が一の時の心配から、少ない生活費の中から、毎月数万円の保険料を払っているという方も少なくありません。
私たちの共済は、保険会社と異なり利益を出す必要がなく、最低限の経費でたすけあいを実現できる、労働組合の仲間どうしの相互扶助のしくみです。
今日、格差と貧困をもたらす社会が問われている中で、非正規労働者も含めて、労働組合の共済が必要とされています。自分と家族、そして仲間のためにも全労連共済に加入してください。

【2022年9月6日に実施された団交のまとめ】

※Aは東海大の代理人弁護士の回答です。

(1)10年以上勤務した非常勤講師を狙い撃ちして2022年度限りで雇い止めにすることに合理性はない。撤回してほしい。

A:学生が東海大で学びたいと思うためにやる。撤回はしない。

(2)明らかな無期転換逃れである。

A:そのように認識していない。

(3)イノベ法はもとより、任期法の特例適用も最近になって言い出したことで、手続きにも不備があり、不当だ。

A:皆さんは1年任期の契約をしているので任期法だ。

(4)Kさんは、次年度もあると言われていたのに、団体交渉の申し入れ書面で名前を出した途端に雇い止めのメールが来た。労組法違反だ。

A:もともと決まっていたことの通知がたまたま団交直前になっただけだから問題ない。

(5)いきなり給料が9割、10割カットされた非常勤講師がいて、悲惨な思いをしている。何十年も勤務させてきて、無期転換も拒否した挙句、これはないだろう。

A:本人の同意を得ているから問題ない。

 

【2022年5月の記事】

東海大学の各地区のキャンパスに勤務する組合内外の方々から、『2023年度の契約更新はしないという通告を受けた』との相談が多く寄せられています。
「10年以上にわたって教壇に立ってきたが、突然雇止めの通告を受けた。年齢的にも再就職先が見つかるか不安で死活問題だ」
「週に14コマを担当していたが、今年度は1コマに減らされて収入が激減した。明らかに辞めさせるための行為だ」などの切実な声が寄せられています。
東海大学は労働契約法の有期雇用契約の通算期間が5年を超えたら無期雇用への転換を求めることができる「5年無期転換ルール」を認めず、研究者や大学教員等については無期転換申込権発生までの期間を10年とする特例法を不当に運用しています。
その結果、10年目に該当する来年2023年前の今年度に雇止めが通告されています。
これが長年東海大学に尽くしてきた人たちへの扱いでしょうか?素朴な疑問が拭えません。

東海大学にはこれまで労働組合がありませんでした。
これまで組合が存在しなかったから、こうした乱暴なことが起こったとも言えます。
しかしこのままだと、常勤の教員は大幅な労働強化となって研究ができなくなり、職員もリストラされ疲弊してしまいます。学生も犠牲になり、結局は大学の価値そのものが低下してしまいます。

大学の教職員の労働条件の改善、引き上げは、単に一つの大学で実現できれば良い問題ではありません。

日本で働くすべての教職員の権利向上、労働条件の引き上げのために、私たちは多くの労働組合や市民と連帯していきます。

そのために横浜地区労働組合協議会に加盟し、100以上の大学と交渉歴を持つ首都圏大学非常勤講師組合とも連帯しつつ、非正規雇用の雇用と生活を守ることを緊急的な課題として取り組みながら、正規、非正規、職員の組合員拡大をすすめ、全ての労働者の雇用と生活を守る連帯の輪を拡げてまいります。